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二重価格表示とは?
二重価格表示とは、一つの商品に対して、2つ以上の価格を表示することです。
例えば、「通常5,000円の商品が今だけ3,500円!」、「番組終了までご注文いただいた方限定、全員30%OFF」など、消費者に対して2つ以上の価格を提示することがこれにあたります。
販売者が二重価格表示を行うことは、商品のやすさをアピールするためと言えますが、消費者にとっては混乱しやすいものですので、注意が必要です。
この二重価格表示は、「不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)」により表示のルールが定められています。
販売者が景品表示法の定めに反して二重価格を表示してしまうと、法律違反とあんり、罰則を受けることもあります。
今日は、正しい二重価格表示を行うために知っておくべきルールについて解説します!
景品表示法とは?
本題に入る前に、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)について知る必要があります。
景品表示法は、消費者が誤解しやすい表示などによって被害を受けないように、正しい表示を行うことを義務付けた法律です。
一般に、景品とは、粗品、おまけ、賞品等を指すと考えられますが、景品表示法上の「景品類」とは、
(1)顧客を誘引するための手段として、
(2)事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する
(3)物品、金銭その他の経済上の利益
であり、景品類に該当する場合は、景品表示法に基づく景品規制が適用されます。
この「顧客を誘引するための手段として、」という内容が重要であり、商品やサービスに関する広告がこれに当てはまると考えられます。
また、景品表示法の目的(第1条)に、その趣旨が次の通り記述されています。
このように、商品の広告、パッケージ、価格の表示の際は、景品表示法に注意して、これを行わなければなりません。
景品表示法の規制を受ける二重価格表示は?
①対象となる価格表示
事業者が、一般消費者に対して商品やサービスを提供する際に行う価格表示のすべてが対象となります。
事業者の業種、営業形態、規模などによって適用の可否が決まるわけではありません。
②対象となる表示媒体
事業者が一般消費者に対して行う価格表示であれば、どのような媒体であっても、景品表示法の規制対象となります。
価格表示はパッケージ、各種広告など様々な媒体で行われますが、媒体を問わず適用されます。
CASE1.同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合
自社の販売価格と他社の比較対象価格を比較し、安さをアピールするために二重価格表示を行うことはできません。
例えば、「うちのA醤油はライバルのB醤油に比べて30%安いのでお得!」と表示する場合です。
A醤油とB醤油とでは、製造方法、栄養素など様々な違いがあるのにもかかわらず、価格だけの違いで安さをアピールすることはできません。
ちなみに、自社の販売している二つの異なる商品について現在の販売価格を比較することは、通常は景品法上の問題は発生されないとされています。
CASE2.過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
最も多い、二重価格表示の仕方だと思います。
例えば、「在庫セール!通常価格より30%割引!」と表示する場合などです。
このケースでポイントとなるのは、当該商品価格と、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対象価格としているか否かです。
最近相当期間にわたって販売されていた価格と比較している場合は不当な二重価格表示にはあたりません。
では、最近相当期間にわたって販売されていた価格とはどのような価格でしょうか?主に次の要件を満たすことがあると言われています。
a. 割引前の価格で2週間以上販売されていたこと。
b. 最近とは、二重価格表示ができる期間は、割引前の価格で販売された最後の日から2週間以内であること。
c. 相当期間とは、二重価格表示を行う日から8週間前の期間(8週間未満の場合はその期間)のうち、過半以上の期間において、割引前の金額で販売されていたこと。
これを図で表すと次のとおりです。緑の部分が、二重価格表示が可能な期間です。
CASE3.将来の販売価格を比//較対照価格とする二重価格表示
例えば、「○○日後に○○円値上げ予定!今がお買い得!」と表示する場合などです。
このような場合は、将来の価格として表示された価格で販売することが確かな場合 以外は、二重価格表示を行うことは、適切でないと判断んされます。
CASE4.タイムサービスを行う場合の二重価格表示
生鮮食品において、鮮度の良いうちに販売するために用いられる場合です。
スーパーやコンビニなどのお弁当の割引をイメージされると分かりやすいと思います。
一定の営業時間経過後に価格の引 下げを行ったりする場合に、当初の表示価格を比較対照価格とする二重価格表示 を行うことは、不当表示に該当しません。
CASE5.希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
製造業者や卸売業者などが、小売店に対して、供給する商品について「希望小売価格」を設定し、商品の値崩れ防止を図ることがあります。
希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合は、その比較対象価格が、製造業者等により設定され、あらかじめ公表されていることが求められます。
小売業者が設定した任意の価格又は、製造業者等が公表していない価格を、希望小売価格と称して比較対照価格に用いるときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあります。
CASE6.他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
同じ商品について、顧客の条件などに応じて二重価格表示を行う場合です。
例えば、「LINE会員限定価格、○○円!」と表示する場合です。
このケースにおいては、曖昧な条件、誰でも用意に達成できる条件による価格を比較対象価格に設定してしまうと、不当表示に該当するおそれがあります。
二重価格表示の正当性の判断は、個別事案による判断が多い。
今まで消費者庁のガイドラインによる一般的な二重価格表示に関する考え方を解説しました。
しかし二重価格表示が景品法における不当表示が該当するかどうかは、案件ごとに個別に判断されます。
それは、消費者が間違って認識する可能性があるかどうかは、一概に何か不可かを判断することが難しいからです。
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