※本文中の戸籍謄本の定義は、除籍謄本、改製原戸籍謄本を含むものとします。
相続手続や家系図の調査などで、他の親戚の戸籍謄本が必要になることって、よくありますよね。
しかし長い間連絡も取っていないし、今は疎遠だし、頼みづらいなぁ、、、と思う方も少なくないと思います。
今日は、相手の委任状なしで、一人で取得可能な戸籍謄本の範囲について述べます。
まず、前提知識として、法律上の親族の定義について知る必要があります。
民法725条は、6親等以内の血族、3親等以内の姻族、そして配偶者を親族と定義しています。
血族、姻族の定義は下記をご覧ください。
姻族 | 簡単にいえば、配偶者側の人。義父母、義兄弟姉妹など、婚姻によって家族関係が形成された者をいいます。もちろん生物学的に血がつながっているわけではありません。 |
血族 | 一般的には、自分側の人。父母、兄弟、叔父など、血縁関係を持っている者をいいます。注意点として法律による血縁関係が生じることもあります(養子縁組、認知など)。前者を自然血族、後者を法定血族といいます。 |
ではいよいよ本題ですが、法律で定められた「親族」であれば、戸籍謄本が取得できるのか?
残念ながら答えはノーです。
戸籍謄本は個人情報の塊であるため、悪用される恐れがあり、その取得範囲は厳しく定められています。
委任状なしに戸籍謄本が取得できる範囲は、
①直系尊属または直系卑属でかつ血族であるもの
②配偶者 に限られます。
サザエさんの家系でたとえますと、
タラちゃんは、波平・フネさんの戸籍謄本を取得できます(直系尊属にあたる)が、
マスオさんは、波平・フネさんの戸籍謄本を取得することができません(尊属であるが、姻族関係)。
また、タラちゃんであっても、海平(波平の双子の兄)の戸籍謄本を取得することはできません。
みなさん理由はもうお分かりですよね?
そうです。タラちゃんと海平らは大叔父と姪孫(てっそん)の関係にあり、直係ではなく傍系だからです。
以上述べたように、戸籍謄本には、親族関係であっても、取得可能範囲が存在します。
どうしても他の親族の戸籍謄本が必要な場合は、委任状を書いてもらうなどで対応できます。
連絡が面倒だからといって、委任状を偽造して戸籍謄本を取得した場合は、
私文書偽造罪に問われますので絶対にしないでください。
最後に、下に上記内容をまとめた関係図を掲載しますので、あわせてご確認ください!
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